【山梨】吉田ルートで登る! 1泊2日の富士登山
2023年7月下旬、富士山に登ってきた。
富士山はご存知のように日本で一番高い山である。二番目に高い北岳の標高が3,193mなのに対し、富士山は3,776mもあり、圧倒的だ。
富士登山は吉田ルート、須走ルート、御殿場ルート、富士宮ルートの4つのルートがあるが、今回は初めてなこともありもっともメジャーで登山者の多い吉田ルートで、1泊2日の行程で登った。
■ 距離は長いが、登山道が比較的緩やか
■ ルート上に山小屋が多く、宿泊計画が立てやすく休憩も取りやすい
■ 登りと下りでルートが分かれており、すれ違いがない
概要
地図
コースタイム
合計:12時間34分 / 休憩:1時間52分
アクセス•メンバー
アクセス
今回は吉田ルートの5合目から登ったが、ハイシーズンは麓から5合目までマイカー規制がかかっている。
シャトルバスが出ている富士山パーキングまで車で行き、マイカー規制区間はシャトルバスを利用した。シャトルバスは事前購入ができるため、事前購入をした。
メンバー
2人
富士は日本一の山
この日本一の山について今さら何を言う必要があろう。(中略)おそらくこれほど多く語られ、歌われ、描かれた山は、世界にもないだろう。
深田久弥『日本百名山』
深田久弥氏が『日本百名山』でも述べているように、富士山について今さら何かを語るまでもない。
2013年には世界文化遺産にも登録され、毎年老若男女問わず多くの登山客が訪れている。外国人観光客も非常に多く、私が行った時にも大勢見かけた。
その一方で、弾丸登山による遭難や登山道の渋滞など、コロナによる外出制限がなくなった今年は特に問題視されている。
吉田ルートは、標高差1,568m、コースタイム9時間弱と、数字だけ見ると日帰りで行けるレベルの行程である。御来光を見たかったので1泊2日の行程にしたが、たいしたことないのではないかと思っていた。
ただ、実際に行ってみると高山病のような症状が出て、数字で見る以上に大変な山で、余裕をもって1泊2日にしてよかったと心底思った。また、見るからに普段登山をしていない軽装の登山客も多かった。一生に一度は登ってみたい山ではあるが、準備と覚悟は必須の山だ。
吉田ルートで行く富士登山
富士山パーキングから富士スバルライン5合目へ
富士山パーキングに車を止め、シャトルバスに乗り換える。富士山パーキングには売店もあった。
シャトルバスは満員だったが、時間のせいなのか、登山客よりも5合目観光の人が多いようだった。
1時間ほどバスに揺られ、富士スバルライン5合目に到着! 下界よりも10℃ほど気温が低く、バスを降りると少しひんやりした。
写真でもわかるが、とにかく人が多い。レストランや売店もたくさんあるが、どこも人、人、人。
そして気になるのが、地面で辛そうに寝ている屍のような人が多いことだ。かなり多くの人がぐったりと寝転んでいる。普段山に登らないのにいきなり富士山に挑戦するからだよ、くらいに思っていたが、のちのちそうでもないことがわかる。
一気に標高2,300mくらいまで上がるため、少し身体を慣らしてから動き始めた方がいいと聞いていたので、軽く昼食をとってから行動を開始した。
5合目から登山スタート!
昼食をとったところで、登山スタート! 山頂は雲がかかってしまい、富士山の全容が見えない。
この日は晴れだったので、下界の景色は綺麗に見えた。
ルートの最初はあまり勾配がなく歩きやすい。
あっという間に6合目到着! 6合目では登山ヘルメットの貸し出しや、登山協力金の受付などの設備があった。
7合目を目指す
下山道との合流地点に到達し、ここからは登り専用の道となる。
ここから先は、遮るもののないがれ場をひたすら歩くことになる。勾配はそこまで急ではなく、まだまだ元気。
この日は曇っており、気温もそれほど高くなかったから快適に登れたが、これが快晴で暑い日だったらけっこうつらいと思う。
7合目辺りから山小屋が出現し始める。7合目付近の山小屋で、子連れの男性が宿泊交渉をしているのが聞こえてきた。御来光を見るにはここからだと夜10時に出発しなければならないと聞いて諦めたようだが、彼らは無事に御来光を見ることができたのだろうか……。
道に岩場も出現し始めた。
シャクナゲが咲いているのも発見! こんな過酷な環境でも花を咲かせられるのがすごい。
宿泊予定の本8合目を目指してひたすら登る。
意外と長い8合目から本8合目
8合目に到着! ここまできたら宿泊予定の山小屋まであと少しだ、と思ったが、ここから本8合目までが長かった。
変わり映えのしない九十九折りの道が続く。この辺りから、高山病なのかだんだん頭痛と気持ち悪さを感じるようになってくる。当然歩くペースも落ちる。ゆっくり歩いているはずなのに、心拍数の上がり方もいつもよりも早い。
3,250m地点に到達。下界は雲がかかってしまい何も見えない。
これ以降、本格的に気持ち悪くなってきた。宿泊予定の山小屋まではあと100m程度しか登らないが、具合が悪くなかなか進まない。どうやら顔色も悪かったようで、ゆっくりゆっくり登った。
本八合目トモエ館で一泊
やっとの思いで、本八合目トモエ館に到着! 着いた時はかなりホッとした。
本八合目トモエ館は、全室個室になっている。カーテンなどで区切られた個室で館内アナウンスや他の登山客の音も聞こえるので熟睡、とまではいかないが、身体を伸ばして眠ることができた。
本八合目トモエ館での宿泊については、後日別の記事にまとめる。
夕食を終え外に出てみると、雲がきれいにとれていた。本来ならばこの景色が楽しめるらしい。
明日も晴れることを祈って、早めに眠りについた。
御来光を見るために山頂を目指す
御来光を見るため、深夜3時頃に山小屋を出発。外に出ると、この景色が広がっていた。下界には美しい夜景が広がり、空には星が散りばめられている。昨日まではあんなに雲が多かったのが嘘みたいだ。美しい御来光を見られそうだ。
昨日はあれほど具合が悪かったが、身体が慣れたのか、すっかり元気を取り戻していた。やっぱり1泊すると違うらしい。
ヘッドライトをつけ、山頂を目指して歩き始める。山頂付近には、ヘッドライトの列が見えた。
だんだんと色が変わる空を眺めながら、山頂を目指す。元気になったので足取りも軽い。高山病にさえならなければ、登りやすい道だ。
途中まではすいすいといったが、山頂付近はこの行列だった。誘導係の人もいて、立ち止まらず進むようにアナウンスしている。山頂での御来光は諦めて座り込んでしまっている人も多かった。
無事に吉田ルートの山頂に到着! かなり人が多い。御来光を見るのにいい場所を探し、少し歩く。
山頂の神社から少し上に上がったところで御来光を見ることにした。夏なのにフリースを着込んでもなお寒い。
太陽が東の方から登ってきた。遮るものもなく、美しい御来光を見ることができ、大満足!
お鉢まわり
しばらく御来光を眺めてから、お鉢まわり開始! 最高峰の剣ヶ峰を目指す。朝焼けに照らされた景色も美しい。
太陽もすっかり登りきった。
朝日に照らされた登山道を歩いていく。
富士山の火口も眺められる。活火山だとはとても信じられない。
富士宮口の富士山頂奥宮に到着。ここにはポストもあり、富士山の山頂から手紙が出せる。
目指す最高峰・剣ヶ峰が見えてきた。剣ヶ峰までの最後の登りが存外急で、ここまでで疲れ果てた身体にはなかなかつらかった。
剣ヶ峰に到達! 山頂標識は、写真を撮るのにそこそこ並んでいたが、せっかくなので並んで写真を撮った。
剣ヶ峰から吉田口方面に戻る。途中、きれいな影富士を見ることができた。
吉田口方面に戻り、売店で豚汁を食べた。これが異常なほどにおいしく、身体に沁みた。下山も頑張れそう。
下山開始!
吉田口の下山ルートから下山開始! 遠く東京湾まで見下ろすことができた。こんな景色、富士山からでないと見られない。
下山道はひたすらがれ場が続く。思ったよりも傾斜がきつく、ともすれば転んでしまいそうになるので案外体力を消耗する。
吉田ルートの下山道は、途中まで須走ルートと一緒だ。分岐を吉田口方面に向かう。下山道にはほとんど山小屋がなく、分岐から行ける本8合目の山小屋と、もう少し降りたところの江戸屋が最後になる。
下山道は本当にただひたすら遮るもののない急ながれ場を降り続ける。
途中、エネルギー補給のため本八合目トモエ館で受け取った朝食を食べた。急ながれ場で膝に負担もかかるので、適度に休憩を取りながら歩き続けた。
登山口まであと1時間ほどのところに、馬が待機していた。どうやら登山口まで馬に乗って下山することもできるらしい。1人2万円となかなかのお値段だったが、外国人登山客を中心に利用している人を見かけた。
ようやく登りとの合流地点に到着! 長かった! このころにはすっかり雲が立ち込め、景色が楽しめなくなっていた。
6合目で、行きは素通りしてしまった登山協力金受付窓口に立ち寄った。協力金として1,000円を支払うと、記念の木札がもらえる。登山口ごとに紐の色が違うらしい。
やっとの思いで下山! 5合目で屍のように転がっている人たちの気持ちが少しだけわかった。
売店も見たかったが、かなり混雑していたため、そのままシャトルバスで駐車場に戻った。
下山後の温泉
下山後は、富士山パーキングから車で4分ほどの「ふじやま温泉」に行った。
【営業時間】10:00~23:00(6:30~9:00まで朝風呂営業もあり)
【大人料金】平日: 1,600円、土日祝: 2,000円(朝風呂料金は800円)
※バスタオル、フェイスタオルのレンタル料込
【施設】内風呂、露天風呂、サウナ(別料金で岩盤浴もあり)
【アメニティ】シャンプー、コンディショナー、ボディーソープ、ドライヤー
ふじやま温泉は富士急ハイランドに隣接している温泉だ。入場料金はやや高めだが、タオル付きでいろいろな種類の温泉を楽しめた。
おわりに
道中高山病のような症状に見舞われたが、初の富士登山はお天気にも恵まれ、美しい御来光と絶景を楽しむことができた。
数字で見るよりも大変な山だったが、多くの人を魅了してやまないのも納得であった。吉田ルートはもちろん、他のルートでもまた登ってみたい。