【山梨】日本で2番目、3番目に高い山に登る! 公共交通機関で行く、1泊2日の北岳・間ノ岳縦走
北岳は標高3,193mで、富士山に次いで日本で2番目に標高が高い山である。北岳の奥にある間ノ岳は標高標高3,190mで、奥穂高岳と同率3位の標高を誇る。どちらも日本百名山に選定されている。
今回は、北岳山荘に1泊し、公共交通機関を用いて北岳と間ノ岳を縦走した。
概要
地図
コースタイム
合計:15時間20分 / 休憩:1時間51分
アクセス•メンバー
アクセス
今回は公共交通機関でアクセスした。
登山口である広河原までは、シーズン限定で甲府駅からバスが出ている。所要時間は約2時間。時期にもよるが本数も限られている。
広河原まではマイカー規制がかかっており、車でアクセスする場合も登山者用駐車場から登山口まではバスに乗る必要がある。ただ、広河原への玄関口となる芦安駐車場からは乗り合いタクシーも出ているため、マイカー規制があるとはいえ公共交通機関のみでアクセスするよりも自由度は高い。
メンバー
2人
日本第2位、第3位の標高を誇る北岳と間ノ岳
北岳と間ノ岳は、その先の農鳥岳も含めて白峰三山と呼ばれている。
日本一標高が高い山が富士山であることは日本人であれば誰でも知っているであろうが、2番目に標高が高い北岳の存在は、山に登る人以外あまり知らないのではないだろうか。
北岳は日本百名山にも選ばれているが、あまり知られていない山であることは、深田久弥氏が『日本百名山』を記した当時も同様だったらしい。
一方の間ノ岳は、実は『日本百名山』では日本で4番目に標高が高い山、と記されている。間ノ岳の標高が奥穂高岳に並んだのは、2014年と最近のことである。地殻変動により、少しずつ標高も変化しているようだ。山はずっとそのままの山容でそこにあるようでありながら、実は長い時間をかけて変化しているのである。
1泊2日! 北岳・間ノ岳縦走
甲府駅から広河原へ
甲府駅を9時5分に出発するバスに乗り、広河原へ向かう。バスの利用者は多かったが、危険だからか全員が座れるように増便してくれていた。
バスでは車窓から見える山について解説してくれた。
11時ごろ、バスは登山口に到着。登山口にある広河原インフォメーションセンターには、トイレなども完備されている。
出発も遅くなってしまったので、早々に準備をして登山開始。
北岳山荘に宿泊予定だったので、この日は北岳山頂には行かず、左俣ルートでひたすら北岳山荘を目指すルートをとった。
広河原から北岳山荘までは、約6キロメートルで1,600mの標高差。時間的にも、コースタイム通りに行かないと日が暮れてしまう。
登山道には、北岳山荘の他にも登山口から2時間強で着く白根御池小屋、5時間ほどの肩ノ小屋がある。また、登山口にも広河原山荘がある。私たちは強行してしまったが、出発が遅くなる場合にはそういった他の山小屋への宿泊も検討したほうがいい。
樹林帯を通り白根御池へ
広河原から白根御池までは、樹林帯が続く。この最初の段階から、なかなかに傾斜がきつい。
道中、急な階段が続く場所もある。
晴天に恵まれ、気持ちのいい気候なのが救いだ。
2時間ほどで白根御池小屋に到着!
白根御池小屋の前にはベンチも設置されており、気軽に休める。私たちが着いたころには終わってしまっていたが、ランチもやっているようだ。
池の脇にはテント場もある。ここからさらに一気に登るため、ここで昼休憩をとった。ばっちりエネルギー補給して、いざ出発!
左俣ルートはがれ場で急登の連続!
分岐を左に行き、左俣ルートへ向かう。最初少しだけ平坦な道を進んだあと……
いよいよがれ場の急登へ。
傾斜が急で、岩がごろごろしている道をひたすら登っていく。なかなかに辛くて心が折れそうになる。
振り返ると鳳凰三山の美しい山容が見えることが唯一の救い。時間が遅めだったからか、登りはもう一つの草すべりルートがメインルートだからか、この道を登っていく人は私たち以外いない。下山する人と時折すれ違う程度だ。
なかなかの岩続き。この日はあまり人がいなかったからよかったが、人が多い時間帯だと落石にも注意しなければいけないかもしれない。
また、一応印はあるもののルートもわかりづらく、たとえば霧が立ち込めて先が見えないような日は道迷いもしかねないので、天候に不安がある日は避けた方がいい気がする。
1時間半ほどで、ようやく分岐に到達する。
ここからがまた大変! 階段とも言えない階段歩きが続く。事前に雨の日は危険なルート、と見ていたが、確かに滑ったら危ない。
なかなかの道ではあるが、やっぱり景色は素晴らしくて、ついつい写真を撮ってしまう。
やっとのことで分岐に到達! 北岳山荘に向けて急ぐ。
北岳山荘へ向かう最後の難関が、これ! 景色は壮観だが、怖い!
ここを通り抜けると、あとは北岳山荘まで下るだけだ。綺麗な稜線をひたすら歩いていく。
やっとのことで山荘到着! 時刻は午後17時少し前、ちょうど予定のコースタイムどおりの時間についたが、かなりぎりぎりである。やはり出発は早いに越したことがない。
振り返ると、明日目指す予定の北岳が綺麗に見えた。
北岳山荘で一泊
無事に到着し、チェックインをする。北岳山荘は事前決済方式なので、夕食や朝食の説明を受けるだけだ。
北岳山荘ではテント泊もできる。この高さまでテントを担いで登るの、本当にすごい。
山小屋の設備は正直あまり期待していなかったのだが、北岳山荘はとても綺麗で寝床も一人一人パーテーションがあり、とても快適に宿泊できた。詳細は後日別の記事にまとめる。
北岳山荘から間ノ岳へ
翌朝、朝食を山小屋で済ませ、6時ごろに出発した。まず目指すは間ノ岳!
昨夜の時点では、午前中までは晴れ予報だったが、想像以上に雲が多い。
ただそのおかげか、ブロッケン現象を見ることができた(近くを歩いていた方に教えていただいた)。
間ノ岳へ続く道は、時々雲が晴れて景色も見えたが、
基本的にはガスの中。
間ノ岳まで行って北岳山荘方面に戻る人は、山荘に荷物を置いて行くこともできる。北岳山荘から間ノ岳までは、片道約1時間半だ。標高差は約300mほど。
富士登山時は高山病になってしまったが、今回の1日目はまったく体調が悪くならず、北岳登山は大丈夫そうだな、と思っていた。しかし間ノ岳までの道は、高山病とまではいかないものの、心拍数がかなり上がってしまい、1日目よりもずっと辛かった。昨日の疲れが残っていたのだろうか。
やっとの思いで間ノ岳登頂! 悲しいことにガスガスで何も見られなかった。晴れていればきっと、南アルプスの雄大な景色を楽しめたことだろう。
山頂でしばし栄養補給をし、北岳山荘方面に戻る。
北岳山荘方面は晴れ間も見えていた。
北岳山頂を目指す
北岳までの道すがら、山頂が顔を出してくれた。
昨日の左俣ルートとの分岐を越え、山頂を目指す。
昨日ほどではないが、階段や鎖場のような道を通る。
山頂まではきつい登りが続く。元気な時だったらそこまででもないのかもしれないが、昨日からの疲れもあり、少し行っては休む、を繰り返した。
山頂が見えてきた。どうやら晴れているようだ。このままもってほしい!
やっとのことで北岳山頂に到着! 眼下に雲は多めだが、見上げると青空が広がっていた。
山頂からの眺め! 周りのどの山よりも高くて、南アルプスの山並みが見えて、本当に綺麗だった。しばらくすると完全に雲の中に隠れてしまったので、タイミングがよかった!
ここで北岳山荘で用意してもらったお弁当を食べた。カバンの中で傾いても大丈夫なようにかなりしっかり梱包してくれていた。冷めててもおいしい。ありがたい。
富士山方面は雲がかかってしまっていて見えなかったのだが、一瞬だけ頭を出してくれた。今度はここから富士山の全景を見たいな。
北岳から下山!
お弁当を食べ終わったところで下山開始! 行きとはルートを変え、肩ノ小屋経由、草すべりルートで降りて行く。肩ノ小屋までは、岩場の道が続いた。
20分ほどで肩ノ小屋に到着! SNSでもよく見るフォトスポットがあった。
ここでお汁粉を食べるか迷っていたところ、北岳に何度も登っていそうなおじさんに「絶対食べてから降りた方がいい!」と勧められ、食べることに。身体が温まる。
ほんのり色づいている山肌を見ながら、下山していく。
草すべりルートもかなり急傾斜で、こちらもこちらで登りは大変そうだった。テントを担いでいる人も多く、やっぱりすごい。
1時間強かけて白根御池に到着!
この時点で14時のバスには到底間に合いそうになかったので、諦めて白根御池小屋でアイスを食べた。寒くなってしまったが、めちゃくちゃおいしかった。キャッシュレス決済を使えるのも嬉しいところ。
最後は以下と同様樹林帯を通って下山。遅めの時間だったが、登ってくる人とも何組かすれ違った。
1時間半ほどで広河原到着! バスの本数が少ないため、1時間以上待つこととなった。芦安駐車場までであれば、人が集まり次第乗り合いタクシーが出ていたようだが、甲府駅まで行くにはバスを待つしかない。やはり公共交通機関のみでも来られるが、車の方がベターなようだ。
下山後の温泉
バスが発着する甲府駅近辺には日帰り温泉がなかったので、甲府から2駅の石和温泉駅近くのホテル、「石和温泉郷ホテルやまなみ」の日帰り温泉に立ち寄った。
【営業時間】11:00〜21:00(日帰りの場合)
【大人料金】1,320円
【施設】内風呂、露天風呂
【アメニティ】シャンプー、コンディショナー、ボディーソープ
ドライヤー
登山者向けの温泉ではないので少し心配だったが快く受け入れてくれ、またちょうど宿泊者が夕食の時間だったのか温泉には他に人がいなくて、とても快適だった。
ホテル自体も良さそうだったので、今度は泊まってみたい。
おわりに
北岳、間ノ岳縦走は、さすが日本で2番目、3番目の山、なかなかに大変ではあったが、南アルプスならではの絶景を楽しむことができた。
公共交通機関のみで行こうとすると時間的にタイトになってしまうが、前泊したり日程を増やしたりすれば公共交通機関でも余裕を持って登ることもできる。
いつかは白峰三山縦走にもチャレンジしてみたい。