【福島】長英新道コースで東北最高峰・燧ヶ岳へ! 〜1泊2日の尾瀬ソロ登山1日目〜
2023年7月中旬、百名山にして東北最高峰の燧ヶ岳に登ってきた。
燧ヶ岳は標高2,356mで、北海道最高峰の旭岳(標高2,291m)よりも高いため、北日本で最も高い山となる。
最高峰の柴安嵓のほか、爼嵓、ミノブチ岳、赤ナグレ岳、御池岳の五峰からなる山で、その独特な山容も目を引く。
今回は、1泊2日で尾瀬の百名山・燧ヶ岳と至仏山の両方に登る計画を立てた。1日目の燧ヶ岳には、大清水から入山し、尾瀬沼方面の長英新道を往復し、尾瀬沼山荘に宿泊するルートで登った。
概要
地図
コースタイム
合計:9時間41分 / 休憩:2時間9分
アクセス•メンバー
アクセス
今回は、夜行バスで大清水にアクセスした。新宿のバスタから出ている夜行バスで、途中埼玉県の川越駅を経由して尾瀬戸倉や大清水まで走る。
大清水-一ノ瀬休憩所間もバスが運行しているため、少し待ってバスを利用した。
詳しい行程については、後日別の記事にまとめる。
メンバー
ソロ
北海道・東北の最高峰、燧ヶ岳
燧ヶ岳は、北海道・東北の最高峰であり、日本百名山の一つに選定されている。
広大な尾瀬ヶ原を差し挟んで東西に対立している燧岳と至仏山。燧の颯爽として威厳のある形を厳父とすれば、至仏の悠揚とした軟らかみのある姿は、慈母にたとえられようか。
深田久弥『日本百名山』
燧ヶ岳は、複数のピークがゴツゴツとした形を作っていて、確かに威厳がある。尾瀬沼を挟んで眺める燧ヶ岳は美しく、尾瀬の象徴となっている。
尾瀬1日目! 長英新道で燧ヶ岳へ
夜行バスで大清水に到着!
新宿のバスタから夜行バスに乗り込み、約6時間ほどで大清水に到着した。時刻は午前3時50分。
日の長い時期といえど、着いた頃はさすがにまだ真っ暗。ヘッドライトをつけて準備をする。
バスでうつらうつらしている時から雨音のようなものが聞こえていたが、着いてみると思っていた以上に本降りの雨だった。初日は燧ヶ岳に行こうと思っていたが、これは厳しいかもしれない。
大清水から一ノ瀬バス停までへはシャトルバスが出ているが、始発は午前5時。バスで15分、標準コースタイム1時間10分の道のり。雨も降っているし、到着時間もさほど変わらないので、バスを待った方が賢明と判断し、バスの出発時刻を待った。
大清水の休憩所はまだ開いていなかったが、併設されているトイレは非常に綺麗でありがたかった。協力金100円で利用できる。
一ノ瀬バス停から登山スタート!
5時ぴったりにバスが出発し、15分ほどで一ノ瀬バス停へ到着。
登山口より登山開始。
雨が降りしきる中、緩やかな登りの行程を歩く。
雨の森は幻想的な雰囲気だった。これはこれで悪くない。
本日のお宿、尾瀬沼山荘に到着。山行に不要な荷物を置かせてもらった。
宿の管理人さんに話を聞くと、長英新道はもともとぬかるみのひどい道だが、雨の日はそれはもうどろどろらしい。ナデッ窪の方がぬかるみはマシだが、岩が多く雨の日は滑るとのこと。ただ予報的には10時には曇りになるらしい。
燧ヶ岳まで行くか迷いつつ、尾瀬沼の方に向かった。
尾瀬沼ビジターセンターの朝一観察会に参加
どうしようか迷っていると、尾瀬沼ビジターセンターが主催している朝一観察会なるもののお知らせを発見。時間もあるし、参加してみることに。
尾瀬沼ビジターセンターの前に集合し、開始を待つ。ビジターセンター内には散策ルートの紹介や、植物や動物の紹介もあり、見どころ満点だった。
ベテランの職員さんに連れられ、雨の中ビジターセンターの周辺をゆっくりと散策した。
歩きながら尾瀬の植物のこと、管理のこと、展望スポットなどを解説してもらう。尾瀬は道路がないため、物資の運搬はヘリコプターか歩荷さんに頼るしかない。尾瀬の自然を守りつつ、訪れる人たちが安全に楽しめるように環境を整備している人々が大勢いることに頭が下がる思いだった。
当初はまっすぐ燧ヶ岳に向かう予定だったが、雨のおかげで思わぬ収穫を得た。尾瀬沼ビジターセンターでは、朝一観察会のほかにもガイドツアーや、スライドショーによる解説も行っているらしい。ぜひ参加してみてほしい。
尾瀬沼散策
そうこうしているうちに雨も弱まってきたので、とりあえず長英新道の登山口に向かって歩き始めた。
せっかくなので、ニッコウキスゲで有名な大江湿原にも足を運ぶ。例年よりも開花が遅いらしく、やや寂しい咲き具合であったが、ニッコウキスゲを見ることができた。
尾瀬沼周辺には、シカの食害を防ぐための柵もあった。
朝一観察会で聞いた話によると、もともと尾瀬にはシカがいなかったが、昨今の個体数増加の影響か日光方面からシカがやってきて、生態系に影響を及ぼしており、このような対策をしているのだとか。
長英新道から燧ヶ岳へ
まだ雨は降っていたけれど、時間は十分にあるし、10時から曇り予報というのを信じて燧ヶ岳に登ることに。
聞いていた通り、ぬかるみのひどい道が続く。ただ、歩けないほどではない。また、ぬかるみはひどいがなだらかな道できつくはない。あまり多くはないが、私の他にも登山者がいた。
半分くらい登った! というところで、やっと一合目。最初はかなりなだらかな道が続くので、歩いた距離の割に標高はあがっていなかったらしい。
ある程度進むと、傾斜がきつくなってくる。気がつくと予報通り雨もあがっていた。
やっと展望が! 尾瀬沼が見えるようになった。かなり上の方までいかないと展望がまったくないルートなので、ひたすら登った。
第一の山頂、ミノブチ岳まであと少し!
山頂へ!
ようやくミノブチ岳に到着! 開けたスペースがあったので、軽くエネルギーを補給する。眼下に広がる尾瀬沼が美しい。
最高地点まではまだかかる。
8合目に到達。もはやぬかるみというより水たまりだった。
山頂付近は岩場が続く。
爼嵓に到達!
爼嵓からも尾瀬沼が綺麗に見えた。
目指す最高地点の柴安嵓まではあと少し。
燧ヶ岳(柴安嵓)山頂に到達! 東北最高峰に登った達成感を味わう。
道中見えていた尾瀬沼はもちろんのこと……
尾瀬ヶ原も綺麗に見ることができた。翌日登る予定の至仏山も見える。シャクナゲも綺麗に咲いていた。どしゃ降りだった時はどうなることかと思ったが、無事に登頂でき、景色も眺めることができてよかった!
天気がイマイチだったからか、山頂には人もまばらだった。昼食をとり、遅くならないうちに下山開始!
下山開始
尾瀬沼を眼下に眺めながら元来た道を下る。
バイバイ、燧ヶ岳。
景色のいい道を過ぎ、あとは長英新道をひたすら下るだけ。岩の多いところは雨に濡れて滑りやすい。
ぬかるみの多い道も、登りよりも下りの方が滑りやすくて怖い。どうしても慎重になり、時間がかかった。展望もなく、案外距離も長く、注意も必要で、修行のような道だった。無心になってひたすら下る。
なんとか転倒することもなく、無事下山!
尾瀬沼越しの燧ヶ岳を見ながら、本日のお宿、尾瀬沼山荘に戻った。
おわりに
長英新道はぬかるみが多く、特に雨の日は悪路であったが、燧ヶ岳からは尾瀬の美しい景色を眺めることができた。燧ヶ岳へ登るルートは他にもいくつかあるので、いろいろなルートで登るのも楽しいかもしれない。
北海道・東北最高峰であり、燧ヶ岳より北にはこれより高い山がない。そんな山に登頂できたという達成感も味わえるいい山であった。